日本におけるEBOサービスまとめ
日本の「従業員承継(EBO)」支援サービス提供会社まとめ

会社の未来を考えたとき、事業承継はすべての経営者が向き合うべき重要なテーマです。しかし、親族内に後継者が見つからず、第三者へのM&Aにも踏み切れないまま、お一人で悩みを抱えておられる経営者の方も少なくないのではないでしょうか。
こうした状況の中、近年、会社の未来を従業員に託す「従業員承継」が、事業承継の“第三の選択肢”として大きな注目を集めています。
今回は、日本で従業員承継をサポートしている専門企業を、それぞれの特徴とともにご紹介します。
なぜ今、「従業員承継」が注目されるのか?
日本の中小企業にとって、後継者不在は深刻な社会問題です。長年培ってきた技術や文化、そして何より大切な従業員の雇用が、廃業によって失われてしまうケースは後を絶ちません。第三者へ承継するM&Aも一つの有効な手段ですが、買収先の経営方針によっては、これまで大切にしてきた「らしさ」が失われることへの不安もつきまといます。
「従業員承継」は、こうした課題を解決する可能性を秘めています。会社のことを最も深く理解し、理念や文化を共有している従業員に事業を託すことで、会社の永続性を保ちながら、従業員の未来をも守ることができるのです。
【モデルケース】株式負担ゼロの革新モデルを提供する「Teamshares」
従業員承継の新しい形を、具体的なビジネスモデルとしてグローバルに展開しているのが、Teamshares社です。同社は米国で創業され、著名なベンチャーキャピタルから資金調達を受けるなど、急成長中のサービスとして注目されており、2024年2月から日本市場にも参入しています。
そのモデルの最大の特徴は、従業員承継の最大の壁であった「従業員の買収資金」の問題を解決する点にあります。
- オーナーからの株式取得: Teamsharesが、引退するオーナーから会社の全株式を買い取ります。
- 従業員への無償譲渡: 取得した株式の10%を、会社の全従業員に対して無償で割り当てます。従業員は金銭的な負担なく、その日から会社のオーナーの一員となります。
- 段階的な所有権の移行: 会社の利益を活用して買収費用を返済していくことで、従業員の持ち株比率は段階的に増加し、20年後には80%に達します。
- 永続的なパートナーシップ: Teamsharesは残りの20%を永続的に保有し、新社長の採用支援や経営ノウハウの提供など、長期的なパートナーとして会社の成長を支え続けます。
あなたの会社の状況で選ぶ、日本の多様な支援パートナー
日本国内にも、Teamsharesだけでなく、多様な形で従業員承継を支える心強い専門家たちが存在します。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合わせたパートナーを選ぶことが重要です。
- 株式会社従業員承継パートナーズ 従業員承継(EBO/MEBO)を専門とするM&Aアドバイザリーファームです。同社のウェブサイトによると、「従業員承継の実現」、「創業者利益の確保」、「経営支援で収益性・成長性に寄与」の3つをポイントとし、10〜15年の期間をかけて資金・経営面でサポートしながら従業員承継を実現するとのことです。
- ICON CAPITAL株式会社 ウェブサイトによれば、従業員承継に必要な「資本」を提供し、会社の株主として経営に参画。中長期的な視点から、後継者と共に企業価値の向上を目指す、資金面の力強いパートナーとなり得る存在になるとのことで、既に2社への支援を実行しています。
- 社内承継機構株式会社(RISONAL社内承継) 社内に後継者がいる中小企業を対象に、「社内承継支援機構」が現オーナーの株式を譲り受け、事業承継を実現。譲り受けた株式は再売却を前提とせず、永続保有し、ガバナンス・経営管理体制の構築を中心にご支援を提供し、役職員が主役の経営体制を実現するとのことです。
まとめ:未来を「託す」ための第一歩
ご紹介したように、従業員承継にも特色あるサービスが出始めており、現実的な事業承継の選択肢の一つとしてなりつつあります。
会社の未来を、最もその価値を理解している社員たちに「託す」。この選択肢を、ぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか。
もちろん、こうした承継プランの策定や資金面での問題解決と並行して、承継したあとの社員がオーナーシップを発揮できるような組織文化への変革を進めることが、本当の意味での成功の鍵となります。
私たちenaut partnersでも、そうした組織開発の側面から、皆様の事業承継を伴走支援しております。まずはお気軽にご相談ください。