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事業承継の新しい潮流ー未来は“売る”ものではなく“託す”もの。会社を社員に託す「コーオウンド・ビジネス」と「自律分散型組織」の幸福な関係

事業承継の新しい潮流ー未来は“売る”ものではなく“託す”もの。会社を社員に託す「コーオウンド・ビジネス」と「自律分散型組織」の幸福な関係

 
会社の未来を考えるとき、経営者の皆様の胸には、様々な想いが去来することと存じます。 「そろそろ先のことを考えなければ…」 そう思いつつも、日々の喧騒の中で、具体的な一歩を踏み出せずにいる、ということはありませんでしょうか。
M&Aという選択肢も頭をよぎるけれど、まるで我が子のように大切に育ててきたこの会社を、想いも知らない第三者に「売る」ことには、どうしても抵抗がある…。
かといって、今の社員たちにこの大切な会社を、そのまま預けられるだろうか。「うちの社員にこの経営の舵取りを任せるのは、まだ無理だ…」と、ため息をついてしまう。
そのお気持ち、痛いほどよくわかります。その不安や葛藤は、会社を愛し、社員を想うからこそ生まれる、あまりにも自然な感情だと、私は思います。
しかし、もし、その「売る」でも「今のままでは託せない」でもない、『第三の選択肢』があるとしたら、いかがでしょうか。

新しい視点:「所有」の概念をアップデートする

それが、社員が会社の所有者となる「コーオウンド・ビジネス(従業員所有型経営)」という、新しい事業承継の潮流です。
これは、単なる福利厚生としての従業員持株会とは一線を画す、会社の所有構造そのものを変革する経営モデルです。後継者不在に悩む多くの企業にとって、M&Aや廃業に代わる、会社の理念や文化を未来へ引き継ぐための、極めて有効な選択肢となり得ます。
「社員に“オーナーのように”働いてほしい」と願うならば、本当に“オーナー”になってもらう。この逆転の発想が、組織に眠る大きな可能性を解き放つ鍵となるのです。

成功の鍵は、組織の「OS」にあった

そうは言っても、ただ社員に会社の株を持たせただけで、本当に経営がうまくいくのか?その不安はごもっともかと思います。実際、形だけの「所有」では、かえって社員に「責任」という重荷だけを背負わせてしまい、組織が疲弊してしまうリスクすらあります。
コーオウンド経営を成功に導くために本当に重要なこと。それは、会社の「OS(オペレーティングシステム)」そのものを、社員一人ひとりが自律的に動ける「進化型組織」へと、計画的にアップデートしていくことです。
情報の透明性を高め、社員が意思決定に参画できる仕組みを整え、誰もが安心して本音を言える「心理的安全性」のある文化を育む。そうした土壌があって初めて、社員は真の当事者意識を持つことができるのです。

具体的な変革の羅針盤と設計図

では、具体的に組織変革を進めていくにはどうしたら良いのか。その変革の旅路において、具体的に進化型組織を目指していく上での羅針盤やガイドラインとなる知見をご紹介します。
一つは、斉藤徹氏が体系化したhintの思想です。これは、心理的安全性や内発的動機づけといった、人の心に火を灯すための理論的背景と、リーダーが明日から実践できる具体的な対話の技術を教えてくれます。個人の意識と能力という『人間的OS』をアップデートするための、まさに知の宝庫と言えるでしょう。
 
もう一つが、㈱手放す経営ラボラトリーが提供する進化型組織の具体的な実践プログラムであるDXO(ディクソー)です。これは、対話を通じて組織の存在意義を『言葉』として共有し、目的に沿ってチームを再編成し、現場の『やりたい!』をスピーディーな意志決定に繋げる仕組みをインストールする、極めて実践的なプロセスです。組織の『構造的OS』を入れ替える、具体的な設計図となります。
 

「経済的オーナー」×「精神的オーナー」が生み出す最強の組織

自律分散型組織が育む「精神的オーナーシップ」=自分たちが会社を動かしているという実感。 コーオウンド・ビジネスが与える「経済的オーナーシップ」=会社の成功が、直接自分の資産になるという実感。
この二つのオーナーシップが両輪となった時、社員の意識は劇的に変わります。「他人ごと」だった会社の課題は「自分ごと」となり、指示を待つのではなく、自ら課題を見つけ、解決しようと動き始めます。

未来を「託す」ための伴走支援

「自律分散型組織」への変革は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。しかし、それは確実に、あなたの会社を、特定のリーダー一人の力に依存しない、しなやかで力強い生命体へと進化させていきます。そうなった時、会社はもはや誰かに「売る」ものではなく、共に未来を創る仲間である社員に、安心して「託す」ことができる、かけがえのない存在になっているはずです。
もちろん、従業員への株式譲渡のプランニングや、それに伴う資金面のご相談など、具体的な承継プランの策定には専門的な知見が必要です。私たちenaut partnersは、そうした財務的な側面から組織文化の変革まで、一気通貫で伴走支援を行っております。
まずはお気軽にご相談ください。あなたの会社の未来を、共に考え、共に創っていくパートナーとなれましたら幸いです。